ヘッドレスCMSとは?国産の開発者が語る背景、メリット、デメリット、従来のCMSとの比較まで
KurocoはAPIファーストで設計されているヘッドレスCMSです。このページでは、業界20年以上の経験を活かしてヘッドレスCMSの背景からメリット、デメリットまでご説明いたします。
ヘッドレスCMSとは
ヘッドレスCMSとは、従来のCMSでは存在していた「ヘッド(表示画面)」部分が分離されたバックエンドを扱うAPIベースのCMSのことです。
2016年頃には既に概念としては提唱され始めており当時は管理画面も「ヘッド」に該当するので、APIのみが提供されているものもありましたが、現在はほとんどのヘッドレスCMSが管理画面を持つようになっております。
ヘッドレスの語源は?
ところで、表示画面がないことをヘッドレスと言うのでしょうか? 諸説ありますが、パソコンのディスプレイが下記のように大きな時代にパソコンメーカーがディスプレイなしパソコンを「ヘッドレス・コンピュータ」として売り出したことから、表示部分の機能がないことを「ヘッドレス」と呼ぶようになったと言われています。パソコンのディスプレイが頭のように見えたのでしょうね。
Marcela (talk) - 投稿者自身による著作物, GFDL 1.2, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=5445374 による
一番有名なのはContentful
ヘッドレスCMSとして一番有名なContentfulは2013年に創業されており、一時は3000億円近い時価総額で評価されるなどWEBコンテンツの管理システムとして次世代を担う仕組みとして注目されております。
日本では、2020年頃から注目されだして、2021年頃から急激に注目が集まっています。国産のヘッドレスCMSであるmicroCMSも2021年9月に資金調達するなど注目の集まっているサービスになっています。
ヘッドレスCMSを運営する『株式会社microCMS』がZ Venture Capitalより資金調達を実施また、エンタープライズ向けのヘッドレスCMSであるKurocoも2021年4月に正式版をリリースいたしました。
完全従量課金制!DX担当者に向けて、ソフトウェア資産を1ヶ月でWEBサービスに変身させるAPI中心設計の次世代CMS「Kuroco|クロコ」を正式リリースその後、続々と国産のヘッドレスCMSがリリースをされていました。
ヘッドレスCMSが登場した背景について
2000年から2010年頃
2000年頃から急速にブログが普及し始めます。MovableTypeやBloggerなどが有名でした。 この頃から企業もホームページを持つのことが当たり前の時代になります。しかし、大手企業などがホームページを作ると構築費だけで1億円以上かかることもよくありました。
しかし、ホームページ管理者からは「もっと手軽に更新をしたい」「ブログみたいに更新したい」という要望が寄せられるようになります。 そこで、流行っていたブログシステムを企業システムの更新システムとして利用する流れになります。ちょうどWordPressがオープンソースで使いやすいブログシステムとしてリリースされていました。
このような流れでWordPressが爆発的にホームページの更新システムとして採用されていきます。プラグインなども充実していき現在の地位を築きました。
2011年から2018年頃
2007年にはiPhoneが発売され、2013年にはiPhone5がリリースされます。この頃には情報をインターネットで探すことが当たり前の時代になります。ホームページも紙芝居のように単純な情報を掲示するだけではなく、インタラクティブな機能や使いやすいUI、スマートフォンとPC、フィーチャーフォンの表示の切り替え、SEO、マーケティング、分析など様々な機能が必要になります。
また、2010年にはページスピードが検索順位決定のアルゴリズムの要素になるとGoogleが発表し、その後さらにその重要度も上がり、2018年にはモバイルファーストインデックスも開始されます。
WEBサイトは複雑化しているにも関わらず、さらに表示速度が重要視される状況になります。
日本国内だと意識されづらいのですが、WEBサイトがグローバルで利用されるようになっている中で表示速度に大事なCDNとWordPressなどの従来型のCMSの相性が良くありませんでした。
また、スマートフォンアプリやIoTなど様々なデバイスがインターネット接続されるようになりました。スマートフォンは回線速度が安定しない問題もあります。
そんな中でブラウザ側のJavaScriptで軽快に動作するReact/VueJS/AngularなどのJavaScriptフレームワークが登場します。
2010年にはCloudflare創業、2011年Fastly創業、2013年にはContentful創業、Reactリリースなど現在のJAMStackの中心プレイヤーたちが続々と登場します。
そして、JAMStack(JavaScript/API/Markupを利用した構成)の提唱者Mathias BiilmannのいるNetlifyが2014年に創業します。
このJAMStackのAPI(Application Programming Interface)部分の機能を提供するCMSが「ヘッドレスCMS」になります。
また、1999年創業のSalesforceのSaaS(ソフトウェア・アズ・サービス)という考え方や2006年に提供が開始されたAmazon Web Servicesのクラウドシステムの考え方も世の中に浸透しました。
そうなると、従来のようにレンタルサーバを借りて、毎回ソフトウェアのインストールをして、設定をして、開発をして、運用やチューニングもしてという手間もコストも時間もかかる方法ではなく、クラウド(SaaS)にあるサービスを利用した方が便利で安くて早いということになります。
このようにCMSもクラウドCMSが主流になりました。
2018年から現在
WEBアプリケーションが単なる情報提供システムではなく、業務も含めたあらゆるアプリケーションとしてクラウド(SaaS)として当たり前に運用されるような時代になると、今度は提供されているアプリケーションに必要な機能が足りない・他のシステムと連携させたい・カスタマイズがしたいという要望がでてきます。 また、JavaScriptフレームワークやアプリから必要な情報だけ取得だけするシステムが欲しいという要望も出てきます。
ここでまた登場するのがAPIです。APIの考え方は50年以上前から存在しますが、WEB上に当たり前のように公開され始めるのがこの頃になります。
JAMStackのAPI部分は当初は単なるデータの提供場所のような想定がされていましたが、現在は決済や認証、データベース、フォームなど様々なデータのやり取りを想定されるようになっています。
弊社で提供しているKurocoはエンタープライズ向けを標榜しており、一般的なヘッドレスCMSよりも機能が豊富でデータ量が多い、カスタマイズ要件がある場合などに適しているヘッドレスCMSとなっております。コンテンツ管理以外にも様々なAPIを提供しております。
背景についてまとめ、そして将来
このように、様々な要因や進化の過程を経てクラウドのヘッドレスCMSが利用される時代になってきました。このJAMStackやヘッドレスCMS、JavaScriptフレームワークを利用した開発手法はまだ進化を続けており、今後、10年でどのような変遷を辿るのかは予想が難しい状況です。
個人的にはヘッドレスCMSは従来型CMS(UI部分も一体的に管理するCMS)に完全に置き換わる存在ではないと考えております。これまでの流れの中でWixやSquarespace、STUDIOなどのローコードWEB制作ツールなども台頭してきており、従来型CMSで対応してきていた様々なニーズは細分化されて様々なサービスに置き換わっていくと考えております。
直近の動きとして、UI/UXに関わる動作はユーザーの手元の各デバイス上(フロントエンド)で処理をして、コンテンツやデータに関する処理はサーバ側(バックエンド)で処理をするという2層での処理をする考え方が主流でしたが、クラウド・エッジの近年の進化によりエッジという層が増えて3層で構成をするような考え方に変わってきています。
クラウド・エッジは、ユーザーの手元ではないがユーザーに限りなく近い場所に小さなサーバを配置して処理をさせることができます。 ユーザーの端末とサーバの距離の問題でユーザー端末のJavaScriptで無理に実行していた処理などがクラウド・エッジ側に移ってきています。
データベースやキー・バリューストアなど様々な機能もエッジで動作するようになっています。Next.jsの開発元であるVercelは、Framework-defined infrastructureを標榜しており、様々なクラウドサービスをフレームワーク側がシームレスに構築・接続できるようにするということを目指しているようです。
どのような進化をしていくか楽しみですね!
UI/UXとCMSが密接に繋がっていることでUI/UXの改善スピードが下がる
UI/UXとCMSがAPIで分離されることにより、UI/UXの改善スピードが劇的に改善する
人間中心設計(HCD)の推進もこのUI/UXの改善スピードが重要
こうしてヘッドレスCMSは時代の要求に沿った製品として様々なサイトに採用されています。
また、従来のCMSもこの流れをキャッチアップするようにAPI機能の実装を進めています。
Kurocoは従来型のCMSでしたが、従来型のCMSのまま単純にAPIの追加対応をしていると、お客様に中途半端な価値しか提供できないと考え、大幅な改修を実施して全く新しいヘッドレスCMSとして誕生いたしました。
ヘッドレスCMSにはどのような種類があるのでしょうか?
続々とリリースがされているヘッドレスCMSですが、どのような種類があるのでしょうか?
大きく分けて提供方法とAPIの種類、持っている機能、出自で分類できます。
代表的な製品 | 提供方法 | API形式 | 持っている機能 | 出自 |
---|---|---|---|---|
Kuroco | パブリック・プライベートクラウド | RESTful | コンテンツ管理 +APIマネージメント +パーソナライズなど様々な機能 | 従来のCMSをヘッドレスCMSに転換 |
Strapi | オープンソース・クラウドのハイブリッド | RESTful or GraphQL | コンテンツ管理がメイン | 最初からヘッドレスCMS |
Contentful microCMS | クラウド | RESTful(GraphQL) | コンテンツ管理がメイン | 最初からヘッドレスCMS |
Wordpress Drupal | オープンソース・クラウドのハイブリッド | RESTful | コンテンツ管理 +パーソナライズなど様々な機能 | 従来のCMSにAPI機能を付与 |
Adobe Sitecore | 商用サーバインストール | RESTful | コンテンツ管理 +パーソナライズなど様々な機能 | 従来のCMSにAPI機能を付与 |
Kurocoは、4000社以上の実績と15年以上の歴史を持つRCMSをヘッドレスCMSとして完全に作り替えた製品になっており、後発ながら他社を上回る機能を保持しています。
WordpressやDrupalのような昔からあるCMSもAPIベースのインターフェースを用意しており、ヘッドレスCMSとしても充分に動作するサービスになっています。
また、商用のエンタープライズCMSもAPIを用意してヘッドレスCMSとしての用途をカバーするような機能追加がされております。
コンテンツ管理のみを考慮する場合は、最初からヘッドレスCMSとして開発されているサービスの方がUIなどが使いやすいというメリットがあります。しかし、コンテンツ管理以外のニーズに対して対応する必要がある場合には、コンテンツ管理以外の機能を持っている製品も検討するとよいです。
では、次からそれぞれの細かい違いに関して比較していきましょう。
ヘッドレスCMSのメリット・デメリット
ここでは一般的なコンテンツ管理がメインのヘッドレスCMSとしてメリット・デメリットを挙げてきます。
ヘッドレスCMSのメリット
主にフロントエンド機能を持っておらず、API機能が充実している点や開発が最近なので、近年のニーズを汲んでいることポイントになっています。
堅牢なセキュリティ
主な外部との接続がAPI部分に限定されるので、セキュリティが担保されやすくなり、セキュリティも高くなります。
高いパフォーマンス性能
CDNが標準で装備されているサービスが多く、APIのレスポンスも高速になっておりパフォーマンスを出しやすい構成になっている。
ベンダーロックインからの開放
APIベースで接続されているので、仮にヘッドレスCMSを入れ替えたい場合にはAPI部分を主に考慮すればよく、リニューアルなどの時に全て作り直すような事態にはならない。また、部分的にヘッドレスCMSを利用可能なので、サービスを併用して段階的に切り替えていくようなこともできる。
自由なデザインやUI/UX
ヘッドレスCMSでは、表示とコンテンツ管理が切り離された構成となるので、表示側はCMSの制限を受けることなく自由に制作することが可能になります。 また、フロントエンド部分のみ技術刷新することも容易です。
様々なプラットフォームへの展開
ヘッドレスCMSのコンテンツは、APIを介して様々なプラットフォームで表示できます。 そのため、デバイス間での互換が容易になります。例えば、Webサイトで利用していたコンテンツを、スマートフォンアプリやサイネージなどのデバイスへの展開が容易です。
開発者間の同時コラボレーション
フロントエンドとバックエンドが分離されているので、タスクの同時並行が可能になります。
ヘッドレスCMSのデメリット
主に技術の新しさによるノウハウの不足などがデメリットになりやすく、従来型のCMSと上手に使い分ける必要があります。 ただし、これは各CMS独自のものではなく、グローバルで利用できる学習内容になるので是非、新しい仕組みに挑戦いただきたいです。
Kurocoではこれらのデメリットを解消するために技術サポートを積極的に行っております。詳しくはサポートをご覧ください。
システムが分散されるので相互の接続などで慣れが必要
まず、フロントエンドとバックエンドが分離されていますので、この相互の通信に関しての技術的な知見が必要になります。
フロントエンド側でプログラムをする必要がある
バックエンドで行っていたプログラムがフロントエンドに移動してきたと言えますが、従来型のCMSに慣れているエンジニアは新しい言語を覚える必要があります。これにより学習コストがかかることになります。
車輪の再発明になってしまうことがある
従来型のCMSはそれなりの歴史を持っており便利な機能が様々あります。ヘッドレスCMSは比較的に新しいこともあり細かい機能が揃っておらず、フロントエンド側で機能の実装をしないといけないことも多い場合があるようです。
Kurocoは従来型のCMSの良さも引き継いでいます。例えば、ページャー機能や前後のページ機能などは容易にAPI側の設定で実装できる機能が用意されています。
Q. どんなサイトでもヘッドレスCMSを利用した方がいいですか?
A. いいえ。ヘッドレスCMSには多くのメリットがありますが、そのメリットを充分に発揮できないタイプのサイトもあります。
しっかり比較検討をして選択をするようにしましょう。
従来型のCMSとヘッドレスCMSの両者を知っている開発者としてフェアな観点で一緒に比較検討させていただきますので、是非サポートまでご連絡ください。
サポート
お探しのページは見つかりましたか?解決しない場合は、問い合わせフォームからお問い合わせいただくか、Slackコミュニティにご参加ください。